難易度評価は、区分基準にしたがって、分類法で行われるのが通常です。
難易度評価において問題なのは、部門間の調整です。
これはたとえば委員会において、十分細かい審議を重ね、部門間の調整を行うべきですが、委員全員の合意を得たときには修正するとしても、委員の意見が大きく二つに分かれたような場合においては調整せず、もう一度難易度評価を行った当事者に再考を求めるという形をとるのがよいと思われます。
その結果、なお疑義が生じた場合には、委員間で審議を重ね、しかもなお統一した見解が得られない場合には、そのままで、修正をしかいことにします。
本来、部門が違えば課業は異質であり、異質であるということは、共通の比較概念はないということにほかなりません。
したがって部門間で難易度を完全に調整し、レベルを揃えることは本来は不可能です。
また確実に調整することが必ずしも適切であるとはいい難いのです。
なぜならば、たとえば生産部門などでは、比較的判断を必要としない業務が多く、したがって長い勤続、高い等級になっても、依然として低い業務を行わねばならず、その結果その部門では、比較的やさしい仕事でも難易度が高いと考えられがちな場合が出てくるからです。
一方、本社管理部門などでは、判断業務が多いのが普通です。
そこで勤続が短く、したがって下位等級の者でも結構高い業務が要求され、そのため部門内では、どうしても難易度は低い方に評価されがちとなります。
この場合に、これをあえて統一すると、難易度の低い業務を主体とする部門では、それ以外に仕事がないのに、そのゆえをもって低い等級に格付けされることとなり、たとえ職務価値が等級格付けに直接関連はないとしても、やはり問題が出てきます。
部門間の公平とは、職務レベルを完全に調整することではなく、むしろ機会の公平性の方がより重要です。
生産部門に携わって一〇年目の人と、本社管理部門に携わって一〇年目の人が、たまたま得られる職務機会が同じならば、その仕事が、たとえ難易度レベルでは異なったとしても、それをむしろ同一とすることの方が公平であるといえます。
各資格等級にどの程度の難易度の課業を対応させるのか。
現実の実態と政策によってその対応関係は設定されます。
各人を仮格付けし、各人の課業分担表を丹念に調べ、全社的に整理していくことにより、相互関連の実態を把握することができます。
また、政策については、これからの部門ごとの等級別人員とか業務配分のあり方を展望して、どれくらいの等級でどれくらいこの難易度の仕事を分担してもらうことになるのかを見通して設定することになります。
一例を示すと図9のようなものとなります。
次に習熟度の深まりの指定です。
一般に等級が異なっても、同じ仕事をする場合が多いのです。
しかしその場合、たとえ同じ仕事をしていても、2級の者は「少しくらい援助や指示を受ければできる程度」でよいが、上位の3級の者には「援助や指示がなくても、しかもミスなくできることを期待し要求する」場合があります。
つまり、等級によって対応する課業は同じ難易度のものであっても、要求される広がりやできる度合いは異なります。
何等級でどの程度できればよいのか、これが習熟の深まりです。
つまり等級が違った場合、同じ課業が対応していても、習熟の深まりや広がりが異なる場合があることになります。
実際問題として、等級と等級の間で仕事は重なりながら進んでいきます。
そして漸次、難易度が高まっていきますが、同じ課業でも習熟の深まりの違いという形で等級と対応します。
さてその習熟度ですが、それは一般的につぎの三つの段階でとらえることができます。
習得すべき知識・技能ですが、知識とはいわば受けるべき研修、通信講座、試験、読むべき本などをいい、技能とは必要とする資格、免許、経験などをいいます。
つまり、一定の課業群を行う上で身につけねばならない条件を、できるだけ具体的な形で、研修とか読むべき本という形で表示していくことになります。
抽象的に書いても判断がむずかしいし、また自己啓発とか研修プログラムの設定に役立ちません。
できるだけ具体的な形で表示するのが適切です。
なお、習得すべき知識・技能はすべての職種をこえて等級別に共通のものと、職種ごとに必要なものとがあります。
そこで、知識・技能を書き出すにあたってはこの点を整理して作業にかからないと混乱したり、無駄な労力を費やすこととなります。
課業分担表は、すでに洗い出された課業をもとにして、まず連名分担表、ついで個人分担表の順で作成されます。
連名分担表というのは、係または課ごとに1まとめとして課業の分担状況を連結的に整理したものです。
課にはどんな仕事があり、それをだれがどのように受け持っており、課員の中で相互にどのように関連があるのか、がこれで明らかとなります。
連名分担表が作成されたならばこれをもとにして上司は部下と集団面接を行います。
つまりどんな仕事があり、だれがどのように分担しているかを皆で確認しあいます。
この面接の中で、係員相互間の職務分担状況をよく理解すると同時に、重複や漏れを明らかにし、職務の配分についてあらためて修正、確認することができます。
上司と部下との間のトラブルは、しばしば職務分担が明確でなく、相互に理解し合っている職務内容が、共通でない場合に生じやすいということも見逃してはなりません。
このような連名分担表の作成と、集団面接が終おったならば、図12のような例示形で個人分担表をつくります。
これは、いわば個人ごとの課業の分担表であり、これをもとにして、期待し要求する仕事の内容とレベルの具体的明細を、面接を通じて上司と部下との間で、口頭で確認することができます。
このような面接あってこそ自己評価も可能であり、上司評価と自己評価をつけ合わせ、これを教育訓練に結びつけていくフィードバックシステムもはっきりします。
もちろんOJTプランも明確となり、成績考課基準も明らかとなります。
そしてこれを通じて昇格や配置や昇給、教育訓練のいわゆる雇用制度全般を明確にしていくことができます。
職務調査を進めるにあたっては、とくに次の点について留意することが必要です。
職務調査は、まずパ試験調査を行い、進め方や課業単位のとらえ方などについて、事務当局および委員会が十分な審議を経て、確信を得た上で本調査に臨むこの調査様式は、できるだけ簡単なものにすべきです。
例示すると、図13のような様式になります。
課業の洗い出しとか難易度評価など、具体的作業そのものは、現場の管理職、たとえば、課長などが分担して行うことになります。
したがって、現場の十分な理解と積極的な協力が職務調査をスムーズに行うための前提条件となります。
すでにみたように、人事考課は主として成績、情意、能力の三つの側面で行われるわけですが、実際の評価は、いくつかの要素ごとに、分析して行われます。
ではどのような考課要素が一般的にとられるのでしょう。
これは各社によってまちまちで、一概にいうことはできません。
一〇〇個以上の要素を並べるケースもあれば、ごくあっさりと五個か六個程度の要素を取り上げている企業もあります。
そこで、ここでは、最大公約数的にしばしばよく取り上げられている要素を整理してみることとします。
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